死後、天才写真家になったヴィヴィアン・マイヤーから学ぶこと

ヴィアン・マイヤーを探して皆さんはヴィヴィヤン・マイヤーという女性をご存じでしょうか。私は「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」という映画が公開されていることを知るまで、全く知りませんでした。

ヴィヴィアン・マイヤーは「天才写真家」。といっても、それは、彼女の死後、ここ数年で付けられた肩書き。生前、彼女は生涯を通して住み込みで乳母や家政婦として生計をたてていた人です。そう、メインの仕事はあくまでナニー。その仕事の合間に撮影していた大量の写真が、現在、ネットに公開されて、その作品の素晴らしさが共有され、「天才写真家」と呼ばれるようになったのです。

確かに、その写真たちを観てみると、多くの作品に心を動かされます。どれも被写体のフレームだけでなく、被写体に宿る感情までもリアルに切り取られてそこにあるよう。写真なのに動いている、というのが個人的な感想。。。
※作品はヴィヴィヤンマイヤーのサイトでチェック!

この写真を発掘したのは、ジョン・マルーフ。
フィルムメイカー、写真家、歴史研究家であり、今回の映画「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」の監督でもあります。

シカゴに住む彼は、近所の貸倉庫で行われたオークションで彼女のフィルムを見つけ落札。当時、執筆していたシカゴの歴史の本の資料として入手したのが出会いだそうな。

現像してみると、どれも素晴らしい、ということで、ブログや写真SNSなどにUPするやいなや大反響。早速、MOMAなどの美術館や各ギャラリーでの発表を提案してみるも、全く相手にされず、「自分やる!」と覚悟を決め、展覧会を開催。ヴィヴィアンの名前を広めることとなります。

ヴィヴィアン・マイヤーって何者?
今回の映画「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」は、ヴィヴィアンを乳母として育った、かつての子供たちや雇い主たちへのインタヴューを中心に、彼女の人となりを探るドキュメンタリー。

乳母としての存在、新聞収集、長身、大手を振って歩く。少し変わり者であったヴィヴィアは、映画だけでは解き明かせない謎の女性。そして、最も大きな謎として、何故、発表しなかったのか、ということ。「彼女は真の写真家」「構図もうまい」と現役の写真家も絶賛するほどの写真を撮影していた、というのに。

公表なくして認められることはない。
そう思うと、やはり、アウトプットなしに、芸術家という肩書きは生まれないのだなぁ、と、当たり前ながら思う本日です。おそらく、放置されている名作の数は、はかりしれないほど存在するのでしょう。

それぞれのスバラシキ種は、内側で育てることはできても、外側に出してみなければ、そのスバラシさを誰も見つけることはできない、ということですね。

もちろん、公表して何者かを他者が決定づけなくとも、自分が満たされていれば、それはそれで良いのだけれど。