マルモッタン・モネ美術館の作品が東京にやってきた!

monetenモネ展。

パリのマルモッタン・モネ美術館には2年目に行ったので、(その時の記事はこちら)今回、わざわざ、行くこともないかな、と思ったけれど、何だか、2年前のその時のその時間、自分の精神がとても穏やかで波のない状態だった記憶がよみがえり、その波動にチューニングできたらいいなぁ、と思って行きました。

で、チューニングできたか、といえば、ちょっとそれは難しかった、というのが事実。

なぜって、だって、予想外に混んでいたから。巨匠クラスの画家の展覧会は久しぶりで、しかも日曜だから、考えてみたら当たり前のことでしたが、うっかりしちゃってました。でも、まぁ、新しい発見もあったし、行って良かったといえば、良かったです。

例えば、モネはカリカチュア(人物の性格や特徴をデフォルメした人物画で風刺画などでよく用いられる)を描くのが、とっても上手で、注文が入るほどだったこと。師匠のウジェーヌ・ブーダンに才能があると言われ、カリカチュアは飽きてしまうから、風景を描きなさい、とアドバイスされて風景を描くようになったこと。晩年、妻のアリスと息子を立て続けに亡くし、2年間は失意で作品を描けなかったこと。これらのことは知らなかったことでした。そして、睡蓮の青と緑のおぼろ。それらは本当に美しい、ということを思い出したりもして。

順路後半、「日本の橋」というタイトルの作品が5連で並んでいいます。これはジヴェルニーの庭にある睡蓮の池にあつらえた太鼓橋。晩年のモネが描いたものなのですが、5つの作品は構図は同じようでも、色が違うし表情も全然違う。時間によって浮かび上がる景色は一秒とも留まっていないのだな、と思いながら、案外じ~んときていました。

で、ここでおもしろかったのは、その作品の前で交わされていた20代前半に見える若い女子二人の会話。
「日本の橋、めっちゃあるわ」
「うん」
「うぁわ、まただ」
「そうだね」
「あぁ、めっちゃあるなぁ」
「なんで?」
「なんか、感動するわ~。モネが日本愛してくれてて」

最初、めっちゃしつこいわ~、って思っているのかと思うほど、不機嫌な印象だったのです。斜に観ていたりとか、声のトーンとか低いしだとかで。でも、感動していたなんて。人の表現は幅広く、両手を広げて涙ぐんだり、感嘆したりするばかりが感動ではないのだなぁ、と改めて。

全般、順路前半よりは比較的サイズの小さな作品が並び、後半へ向かうほど、見応えのある作品が展示されている構成。
順路を逆戻りしにくいので、好きな作品はとことn、その場で鑑賞しつくす、というのが良いと。

「日の出」の展示は18日までで、現在はそれに変わって、「サンラザール駅」を展示中。実際、モネはこれを描く時、駅長にわがままを言って、ある一定時間、汽車から出る煙を出すためにたくさんの石炭でくべて燃やすリクエストをしたとか。こんな個人要望、日本では通用しませんね。

納得のいく作品を描くための演出ぬかりなく。モネの画家魂はやっぱり半端ない、と思う本日、少々、若い女子風のノリになっているのでした。