【サンドイッチ】ゲーム好きだったサンドイッチ伯爵のお手軽食。


sandwich~サンドイッチ~

主産国/イギリス、フランス600sandwich

≪パン言葉≫

カジュアル仕立て、フレンドリー

≪サンドイッチの特徴≫

名前の出どころは、イギリス貴族、サンドイッチ伯爵家。時は18世紀、4代目ジョン・モンタギューの時代、ポーカー狂の伯爵が、ゲームに熱中しながらも食べられる食事用に、料理人が食パンに肉やコンピーフを挟んでサービスしたのが始まり、と伝えられています。伯爵が考案したわけでも、広めたわけでもなくて、たまたま、パンに具を挟んだ料理が、サンドイッチ伯爵用の食事だったというだけで呼ばれるようになったのですね。木下さんが毎日食べている定食が、木下定食と呼ばれるようになってしまう、そんな感じ。

パンに具を挟んだ軽食をサンドイッチとするならば、すでに古代ローマの時代のころから食されていたようです。名もなきパン料理だったか、実はいろいろ名前があったのか、謎なところです。

フランスはバゲットサンド、イタリアはパニーニ、中東はピタパンサンドなど、国々で主流のサンドイッチスタイルは様々。日本では、耳を切り落とした食パンで挟む、柔らか仕上げサンドがスタンダードでしょうか。

ともあれ、サンドイッチの最大の魅力は、具材をパンに挟むことによって、片手で手軽に食べられるカジュアルさを実現しているところではないかと思われます。ハムやチーズの定番具材はもちろん、ステーキやフォアグラのような贅沢具材を挟んでも、生クリームと季節のフルーツのような上品具材を挟んでも、カジュアルに仕上げてしまう技は、サンドゥイッチの武器といえます。

シンプル具材も、贅沢具材も、上品素材もカジュアルな普段食に変幻できてしまう、柔軟なスタンスありがたいサンドイッチ。世界中で、ナイフとフォークなしでこれほど幅広い味わいを楽しめる料理は、他になかなか見当たりません。日常生活で、とてもフレンドリーな立ち位置です。

用途に関しても、サンドゥイッチ伯爵のように、何かに熱中しながら空腹を満たすこともできますし、持ち運びにも便利で、お弁当にも重宝。日常のオフタイムはもちろん、オンタイムでしっかり活躍できる実用性も優れたところです。

≪パンキャラ≫

お好みのパンと具材は、人生の物語を創るアイテム。
定番テイストも冒険テイストも日常の味わいなり。

≪サンドイッチからのメッセージ≫

工夫し放題で自分好みに仕上げられるわたくしサンドイッチ。それは、たびたび小説の中でも、ストーリーにエッセンスを加えています。

たとえば、江國香織さんの「落下する夕方」に登場したディル入りのきゅうりのサンドイッチ。主人公が一緒に暮らしていた男と付き合う女のためにそのサンドイッチを作り、女の口から「おいしい」と言わせているところなど、複雑な気持ちが増幅されている気がします。

村上春樹さんの小説にはサンドイッチに限らす頻繁に軽食が登場しますが、具や素材のセレクトで、登場人物の暮らしぶりや、好みなどが反映されていたりしますね。「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」に登場するきゅうりとハムのサンドイッチなどには、個人的に、定番の日常性を感じることができます。

みなさんの人生の物語では、いつ、どんな時に、サンドイッチが登場しましたか。
そして、どうして、その時、そのサンドイッチを選んだのでしょうか。

辿ってみると、意外な発見があるかもしれません。

ところで、みなさんのお好みのサンドイッチって、何ですか。
卵、ツナ、野菜、ハム、カツ…と、数え上げればキリがありませんが、自分で選ぶ時、案外いつも同じ、になったりしませんか、

◎いつもと同じ味「失敗なしの安心ゾーン」から選ぶ。
◎いつもと違う味「食べて確かめる冒険ゾーン」から選ぶ。
どちらでしょう。

まぁ、サンドイッチ選びごときで、大げさな、思うかもしれませんが、周囲の動向から判断すると、いつもと同じ味を選ぶ人って、サンドイッチ選びでない場面でも、安心ゾーンを選ぶ傾向にあるような気がします。そして、珍しいテイストを試みる人は、好奇心のままにいろいろを選ぶ傾向にあるような。

もちろん、どちらがいいとか悪いとかはありません。
ただ、サンドイッチ選びの側面ひとつからでも、人の性格が見えてくることに気づき、改めておもしろいな、と。

ちなみに私は個人的に卵サンドが大好き。ミックスでも野菜でも卵がどこかに入っていてほしい、という願望があります。ほとんどの場合卵が入っていないものは選びません。なので、卵の世界から抜け出せないわけです。典型的な安心ゾーン志向。

食べたことのない種類を選ぶと、時に恐ろしく不味いテイストに出会うことがありますからね。それは大変なリスクです。でも、冒険家からすれば、それは失敗ではなく検証データのひとつ。「うっ、不味い」と笑いながら、むしろ楽しい気分になっていたりしますね。逆に、美味しさに出会うチャンスを逃さないので、最高のお気に入りをたくさんストックしているし、物知りだったりもします。

さて、次に食べるサンドイッチ、どんな具材を選びましょうか。

パン言葉とは?
パン言葉、パンキャラは個々のパンの特徴から、筆者の主観により導きだした表現です。
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