【チャパッタ】失敗から生まれた「できちゃったパン」!


Ciabatta~チャパッタ~

主産国/イタリア
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≪パン言葉≫

外見で判断しない

≪チャパッタの特徴≫

イタリア語で「スリッパ」や「靴の中敷き」を意味するチャパッタ。おおぶりで平べったいその姿から名づけられたのでしょうね。上手にカットすれば、ちゃんと足指を収めて室内を歩けそうですもの。

外見はカサカサして無骨でどっしりした印象ですが、中身は不ぞろいの穴ぼこだらけ。でも、その生地はしっとり。これは、チャパッタの配合に水分が多いから。焼くと水分が蒸発して穴ぼこになって、しかも穴ぼこの表面がゲル化してしっとりベールに包まれるのです。人もパンも外見だけでなく中身を知ることなしに判断できません。

そもそも、チャパッタは、昔々、パン屋さんが仕込みの段階で、水の量を間違えて多く入れて焼いた結果できた、いわば予期せず生まれた、「できちゃったパン」です。でも、その後、見捨てられたりはせず、大衆の愛情を受けて食べ継がれ、今に至ります。オリーブオイルと塩で食したり、横にスライスしてパニーニ用のパンになったり。「美人は3日で飽きるけれど、中身が優れていれば、見た目に少々輝きがなくても、飽きられない」というようなことを思い出させる、非常に人間的なイタリアパンかもしれません。

≪パンキャラ≫

見た目よりも、意外と優しいヤツ。
偶然の失敗からこの世に誕生して、大衆にウケています。

≪チャパッタからのメッセージ≫

わたくし、生まれも育ちもイタリア北部ヴェネト州ポレージネ (Polesine) 地方の街“アドリア”。アドリアっていう名前からして、アドリア海の青さを一望できそうな街を連想させるでしょう。でも、海はちょっとも見えません(^^ゞ近くにポー川あって、それがアドリア海に繋がってますけどね。

そんな街で、パン屋の職人様が、いつものパンを作る際に、粉に入れる水を結構入れ過ぎちゃってね、で、思い通りに焼き上がらなかった結果、わたしができました。なんというか、できそこないだったわけです。

この出生状況を聞けば、多くの皆さまはちょっと気の毒な感じに思えるかもしれないけれど、これがね、そうでもないんですよ。偶然しっとりボディに仕上がりまして。見た感じはカサカサなんだけど、中身は弾力があって、口当たり良くてね、わたしのボディを知った人は、また、触れたくなってしまう、と噂になりまして、いつの間にか多くのみなさまを虜にしていました。

口当たりが優しくてしっとりしているので、生ハムやサーモンなんかのローフードも、優しく挟んであげちゃいますし、トマトソースなんかも良く馴染みます。外皮は目が詰まってますから、野菜の水分やソースもしっかりガード。ダラダラ垂れたり、はみ出したり、も防げる技も持ってます。

「偶然の失敗は成功の種」。
いやぁ、もう、本当に。

こういう実例を思い出してもらえば、どんどん、やらかしちゃっていいんじゃないか、って思いますね。あ~間違えた!って思った瞬間、違う何かに導かれている、ってことも少なくはなく。

道なんかもそうですよね、迷って、迷って、迷った挙句、目的と違う道にスバラシイ景色があったり、運命の出会いがあったりするわけで。もちろん、猛獣に出くわしたり、イバラであったりもするかもだけれど、間違いは違う何かに出会う、ひとつのきっかけになる、貴重な体験ですから、ね。

パン言葉とは?
パン言葉、パンキャラは個々のパンの特徴から、筆者の主観により導きだした表現です。
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